相続登記
相続登記が必要なケース
1 不動産の相続手続について
相続が発生すると、被相続人名義の不動産は、相続人に登記名義を移す必要があります。
亡くなった方が所持していた不動産の名義を、新しい所有者に変更するための手続が相続登記です。
2 不動産を売却する場合
不動産を売却する場合には、被相続人のままの名義では売れませんので、必ず相続登記をする必要があります。
例えば、相続人が4名いて、売却して4等分する場合には、必ずしも4人全員が登記を入れる必要はなく、換価のために取得することを協議書に明記して、単独で登記名義を入れることで、登記及び相続税(譲渡所得課税)について矛盾なく手続をすることができます。
しかし仮に、相続人のうち1人がマイホーム特例、空き家特例を使える等の理由で、1人が相続したうえで売却し、他の相続人に代償金を分けるケースでは、遺産分割協議書の記載は、「完全に単独で取得したうえで代償金を支払う」との表現になるので注意が必要です。
3 遺留分の解決として不動産を渡すケース
令和元年の相続法改正により、遺留分が金銭債権となりましたので、遺留分の支払いの代償として不動産を渡す場合には、一度相続登記を入れてから代物弁済を行うという手順を踏むことになります。
この場合には、相続登記、相続税の納税の必要に加えて、さらに譲渡所得課税の申告及び納税が必要になりますので、注意が必要です。
4 兄弟相続が控えている場合等、相続人が多数になるリスクがあるケース
相続登記を放っておくと、相続人が死亡することで、相続人が雪だるま式に増えていくことがあります。
特に兄弟相続が発生すると、相続人がさらに多数になることがありますので、そのようなケースになる可能性がある場合には、必ず相続登記を入れる必要があります。
5 相続登記の義務化
昨今の情勢に鑑み、相続登記の義務化が法律により定められることになりました。
改正後は、相続したにもかかわらず3年以内に登記をしないと、10万円以下の過料が課せられるようになるため、今後は罰則を免れるためにも、相続登記をしなければならなくなります。
これからは不動産の所有者が亡くなった場合の相続においては、相続登記が必要なケースにあたることになります。
また、紛争により分割方法が決定していない場合には、その旨を名乗り出て相続人の住所等を登記する制度も始まります。