不動産の相続手続が必要な理由
1 不動産の相続手続として行うこと
相続が発生すると、被相続人名義の不動産につき、相続人に対して登記名義を移す必要があります。
しかしながら、思いのほか多くの方が、この相続登記を放置しているという現状があります。
理由としては、費用がかかること、登記をするメリットを感じられていないこと等が挙げられるかと思います。
2 相続登記をしないリスク
確かに、相続登記には、司法書士等への報酬に加えて、登録免許税もかかりますので、費用がかかります。
そのため、現実には売却をする際に初めて相続登記を入れるという方も珍しくありません。
しかし、相続登記をしないままにしておくと、相続が複数発生した場合等、相続人がいつの間にか多数になってしまっており、いざ手続をしようと思ったタイミングで円滑に手続を進めることができず、売却ができなくなってしまうリスクが考えられます。
また、例外的ではありますが、相続をしないまま、登記を信じた第三者が不動産を取得してしまうと、買い受けた第三者が保護され、不動産を失うというリスクもない訳ではありません。
また、遺産分割協議が成立して、Aさんが不動産を取得することになったが、Aさんが相続登記を入れないで放っておいたところ、数十年経ってから当時の相続人Bの相続人が、当時の事情を知らずに遺産分割を求めてきて困る、というケースも実際にあります。
当時の遺産分割協議書が残っていればよいですが、数十年経って協議書も失くしてしまっているというような状態ですと、Aさんが不動産を所有していることを証明できなくなってしまうかもしれません。
3 相続登記が義務化されます
このような昨今の情勢に鑑み、相続登記の義務化が法律により定められることになりました。
改正後は、相続したにも関わらず3年以内に登記をしないと、10万円以下の過料が課せられるようになります。
今後は罰則を免れるためにも、相続登記をしなければならなくなります。
なお、紛争により分割方法が決まらないという場合には、その旨を報告し相続人の住所等を登記する制度も始まります。