遺産分割の期限
1 遺産分割の法的な期限は存在しません
法律上の手続きには期限が定められているものがあり、中には罰則が定められているような厳しい手続きもあります。
しかし、遺産分割には法律上の期限はありません。
そのため、いつ遺産分割を行ってもいいことになっています。
亡くなった当日であっても、亡くなってから30年が経過した時点であっても、遺産分割は可能です。
ただし、後で述べる通り、遺産分割はできるだけ早く行ったほうがよいと考えられます。
また、生前に遺産分割を行うことはできません。
あくまで、相続が発生した後に、遺産分割を行うことになります。
2 期限はなくとも、遺産分割はできるだけ早く行いましょう
もし、遺産分割をすることなく、何十年も放置した場合、どうなるでしょうか。
親が亡くなり、子が亡くなり、孫の世代やひ孫の世代で遺産分割を行うことになります。
そうなった場合、相続人が何十人もいるという結果になる可能性があります。
相続人が何十人もいると、話し合いの機会を設けること自体が難しくなり、遺産分割が事実上困難になってしまいます。
そのため、遺産分割は、期限の有無にかかわらず、できるだけ早く行う必要があります。
3 遺産の調査は、相続発生後すぐに必要です
遺産分割自体はいつ行ってもいいことになっていますが、遺産の調査は相続発生後すぐに行う必要があります。
もし、亡くなった方が多額の債務を負っていた場合、相続放棄をしなければ債務を相続しなければなりません。
しかし、相続放棄は亡くなってから3か月以内という非常に厳格な期限が定められています。
そのため、遺産の調査だけは、相続発生後すぐに行いましょう。
ここでいう債務には、消費者金融からの借り入れはもちろん、住宅ローン、自動車のローン、交通事故の賠償金なども含まれます。
4 遺産が3000万円以上ある場合は、すぐに遺産分割をしましょう
調査の結果、遺産が3000万円以上ある場合、相続税申告が必要になる可能性があります。
相続税申告は、亡くなってから10か月以内という期間制限があり、期限を守れなかった場合、重い税金を課せられることになります。
また、遺産の分け方が決まっていないと、相続税を安くするための制度を利用することができない場合があるため、いったん余分に税金を納め、還付の手続きをしなければならないなど、非常に手間がかかります。